MBA留学後、米国で日系企業の現地社員として10年以上働いてきたが、最近とある日本企業に転職し、駐在員として米国で勤務することになった。今まで家族四人きちんと生活を維持できる給料をいただけるところで働いてきており、待遇に特に不満はなかったとはいえ、駐在員に付随する手当てを今回初めて目の当たりにするとなかなかの驚きではあった。もちろん会社によって事情は異なると思われるが、今回ご縁のあった会社での例を書き留めておくこととしたい。

ボーナスについては特に調整はないが、毎月の給料に関しては標準月額給与に海外勤務手当(場所にもよるだろうが米国で3割程度)と生活指数調整額による手当(マーサーの生計費指数を基準とした掛け目・米国西海岸で25%程度)がつく。さらに主だったベネフィットとして家賃補助、社用車支給などがある。これらは全て米国では課税所得としてカウントされるため税後の手取りベースでそれぞれの金額が手元に残るように計算して(グロスアップ)支給される。これらによって額面ではちょっとした上場企業の役員クラス以上の収入となる。

つまり定期的な出費項目の中で最も大きな額である家賃が会社持ちであるにも関わらず月々の給料は日本にいる時と比べて約1.6倍と非常に恵まれたステータスを享受できるのが駐在である。40年にわたるサラリーマン人生のうち2、3年から5年の期間限定の臨時ボーナスが駐在とはよく言われるところでもあるが、周り、特に規模の小さい会社に在籍しながら海外駐在を10年以上続けている猛者も少なからずおり、顔ぶれの変わらない本社ビルで日々上司の顔色を窺いながら何十年もかけて役員昇進を天に願うよりは、英語の勉強でもして駐在を勝ち取るのを狙うほうがリターン確率がよほど高いのではないかと思ったりする。

もちろん身の丈に合わない報酬を駐在員というだけでもらっていることを知っている現地企業の同僚や上司からは相当のプレッシャーをかけられるわけで、それなりにアウトプットを出さないわけにはいかないのだが、そういうのは給料が多かろうが少なかろうがサラリーマンである限り避けられないことである。

こういった事情は日本企業に特有というわけではなく、米国企業から日本にExpat(駐在員)として駐在していたアメリカ人の同僚や友人などに聞くと、Expatパッケージはどこもそんなもんらしく、皆同様にニコニコして思い出話を語ってくれる。

海外が身近になった今そこまで駐在員に手厚く保証することもなくなってきていると思うし、実際手当も昔に比べて縮小していると聞いているが、まともな方向に動いているということであろう。