柊カントのBLOG

米国からビジネス・政治・経済を考察する

2018年12月

以前面白いけどネーミングがインパクトありすぎてで出オチ的な印象を与えるために中々売れないのではないかと思っていた「霜降り明星」が2018年のM-1を制した。

一方、応援していた「かまいたち」は惜しくもファイナル進出を逃した。二年越しで笑いとは何かという問いを審査員に突き付けた「ジャルジャル」、優勝大本命の「和牛」と優勝するほどの勢いのある「霜降り」が相手ではついてなかったと思ってあきらめるしかないのかもしれない。KOC優勝してるしいいかなという配慮が審査員になかったとはいえないのではないか。

このかまいたちのM-1ネタ、コンビニの「ポイントカード」なのだが、タイムマシンで昔に一回だけ戻れるなら何する、と聞かれて10年以上前に勧誘されたときに断って以来、作って来なかったポイントカードを最初の勧誘時に戻って作りたいというボケを中心に展開するネタである。

ネタや漫才そのものの出来を評価するのは恐れ多いのだが、このポイントカードにまつわる心情が経済学にいう「サンクコスト効果」をうまく使ったネタだということに気づいたときはうれしかった。今ポイントカード作ると今まで10年間も作るのを断ってきた分損しちゃうみたいな気分になるし、もう今更作れないーこの心理がサンクコスト効果。

ちなみに経済学的に正しく行動するならすでに済んでしまったことはどうせ取り返せないのだから無視するのがよろしいという話である。これに対し今までつぎ込んできた努力や時間、お金などを考えるともったいなくてやめるくらいなら死んでしまう・・・というのが普通の心情。

ほかのネタも経済学的に分析しようかなと思ったけど難しかった。実力をつけて次のM-1までにチャレンジしたい。


現在日系企業が最近買収した米国企業に派遣され、管理系のPMI(Post Merger Integration、企業買収後の統合作業)を担当している。カバーする業務範囲は大まかに言って以下の1.~5.に分類できる。

1. 営業結果や財務レポートの作成支援
2. 上場会社グループとして必要なガバナンス制度の整備
3. 内部監査の実行
4. 出向契約などの整備
5. 業務系システム統合のサポート

書いてみるとパッケージさえしっかり準備できていればリモートでもやれそうなものばかりでややがっかりするのだが、派遣元の日系企業が米国企業を買収したのが初めてであったため、実際には作業項目 0.としてスコープオブワークの設定とでもいうべき上の1.~5.の業務範囲・枠組みそのものを決める業務がありそれが中々時間を要した。採用プロセスで私のミッションは何でどうしたら評価されるのですか?と質問したがあまり明確な答えがなかったことから予想できたことであるので文句は言えない。

元々全ての資料が日本語ベースであるため、日英のニュアンスや会計制度の違いも含めテンプレの英語化にも意外と時間がとられた。

あと特殊事情としては買収される前から通常の営業を行っている買収対象企業のCFO(Chief Financial Officer)やController(経理部長)を買収後もキープすることになっていたため、一からシステムを学ぶ必要がないことによる楽さと、うまく進まないときに間接的にしか動けないというジレンマを抱えることになる。隔靴掻痒の感は否めない。

買収前にプレゼンされたバラ色の事業計画に比べると、買収後は色々な事情が発覚して残念ながら当初の想定をはるかに下回る業績で推移しており、しばらく様子を見ていた派遣元も管理なんかよりは業績どうにかしろや減損リスクどうすんねんという感じでせっかく定めた上記業務内容の見直しをさっそく迫られている状況である。未経験の業界で未経験のセールスやマーケティングに口出ししても現場にウザがられるのが関の山なのでどうすればうまく派遣先の業績に貢献できるか思案する日々である。

今回の転職が東海岸から西海岸への転居を伴うものであったので、そもそも勤務する事務所にほど近いところに住居を定めたのだが、不運なことに転居後半年で事務所が40マイル(64キロ)先に移転してしまい、今まで車で往復30分だった通勤(コミュート)時間が3時間近くに伸びてしまった。

駐在員というステータスを利用して再度引越すこともできたのだが、子供の学校や習い事など一旦始めてしまったものを再引越し先でもう一度アレンジしなおすのも大変だし、残りの駐在期間もせいぜい1.5年なのに会社費用で引越すのもどうかなと思い、通勤時間が長くなるほうを選択したのだ。

一日3時間を無駄にするのは惜しいが車を運転中にできることは限られている。月並みだがAudibleを活用して洋書にチャレンジしてみることにしたところ、今までまともに読み切ったことのなかった洋書を順調に開始一か月で3冊終了(読了ではなく聴了?)できた。窮地に陥った時にいつも唱えるようにしているマントラ「ピンチをチャンスに変える」を地で行ったようななりゆきに満足している。

もちろん聞き流しているため理解度は大したことないが、難しい内容であるならば目で読んだとしても理解度が高くなるとは限らないのでそこはとりあえずよしとしている。ただ面白い本はやはり目で内容を確認したり線を引っ張ってみたりしたいので印刷したリアルの本(ハードコピー)も結局取り寄せることになるのだがこれもいい傾向かなと思っている。

・Delivering Happiness(聴了)
・What I talk about when I talk about Running(聴了:日本語の本を持っている)
・Barking up the wrong tree(聴了:ハードコピー取り寄せ中)
・Misbehaving(もうすぐ聴了:ハードコピー取り寄せ中)

MBA留学後、米国で日系企業の現地社員として10年以上働いてきたが、最近とある日本企業に転職し、駐在員として米国で勤務することになった。今まで家族四人きちんと生活を維持できる給料をいただけるところで働いてきており、待遇に特に不満はなかったとはいえ、駐在員に付随する手当てを今回初めて目の当たりにするとなかなかの驚きではあった。もちろん会社によって事情は異なると思われるが、今回ご縁のあった会社での例を書き留めておくこととしたい。

ボーナスについては特に調整はないが、毎月の給料に関しては標準月額給与に海外勤務手当(場所にもよるだろうが米国で3割程度)と生活指数調整額による手当(マーサーの生計費指数を基準とした掛け目・米国西海岸で25%程度)がつく。さらに主だったベネフィットとして家賃補助、社用車支給などがある。これらは全て米国では課税所得としてカウントされるため税後の手取りベースでそれぞれの金額が手元に残るように計算して(グロスアップ)支給される。これらによって額面ではちょっとした上場企業の役員クラス以上の収入となる。

つまり定期的な出費項目の中で最も大きな額である家賃が会社持ちであるにも関わらず月々の給料は日本にいる時と比べて約1.6倍と非常に恵まれたステータスを享受できるのが駐在である。40年にわたるサラリーマン人生のうち2、3年から5年の期間限定の臨時ボーナスが駐在とはよく言われるところでもあるが、周り、特に規模の小さい会社に在籍しながら海外駐在を10年以上続けている猛者も少なからずおり、顔ぶれの変わらない本社ビルで日々上司の顔色を窺いながら何十年もかけて役員昇進を天に願うよりは、英語の勉強でもして駐在を勝ち取るのを狙うほうがリターン確率がよほど高いのではないかと思ったりする。

もちろん身の丈に合わない報酬を駐在員というだけでもらっていることを知っている現地企業の同僚や上司からは相当のプレッシャーをかけられるわけで、それなりにアウトプットを出さないわけにはいかないのだが、そういうのは給料が多かろうが少なかろうがサラリーマンである限り避けられないことである。

こういった事情は日本企業に特有というわけではなく、米国企業から日本にExpat(駐在員)として駐在していたアメリカ人の同僚や友人などに聞くと、Expatパッケージはどこもそんなもんらしく、皆同様にニコニコして思い出話を語ってくれる。

海外が身近になった今そこまで駐在員に手厚く保証することもなくなってきていると思うし、実際手当も昔に比べて縮小していると聞いているが、まともな方向に動いているということであろう。

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